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一歩外に出れば猛暑で大汗、しかし通勤電車やオフィスでは強い冷房で体が冷えてしまう……。そんな夏でも体調を健やかに保つサポートをしてくれるのが入浴です。暑い夏はシャワーを浴びるだけで湯船にはつからないという人も多いのでは? しかしこれはもったいないこと。湯船につかること=入浴には、シャワーだけでは得られない多くのメリットがあるからです。入浴がもたらす健康効果や夏ならではの入浴のコツなどについて、ご紹介します。
まず、入浴の代表的な健康作用をいくつかご紹介します。
1 血流改善
体が温まることで血管が拡張し、血流が改善。全身に血液が行き渡り、新陳代謝もアップ。また、温めることで神経の過敏性を抑えられる場合もあり、神経痛など慢性的な痛みを和らげたり、筋肉の収縮による肩こりをほぐしたりする効果が期待できます。ただし、片頭痛がある時やぶつけたばかりの打撲の時は避けましょう。
2 浮力作用
水中では浮力によって体重が10分の1程度になります。重力から解放され、体が軽くなることで、関節や筋肉の緊張が緩み、リラックス効果が期待できます。
3 清浄作用
体の表面の汚れはシャワーで落とせますが、しっかり湯船につかることで全身の毛穴が開き、余分な皮脂が流れ出ます。
季節にかかわらず、疲れを取るための入浴法としてお勧めしたいのが次の3つのポイントです。
1 お湯の温度は40℃前後に
人によっては「ちょっとぬるい」と感じるかもしれない温度ですが、年齢や体力に関係なく、のぼせやヒートショックなどの体調不良を起こしにくいというメリットが報告されています。
2 肩までつかって全身浴を
前述の「7大効果」で挙げた静水圧と浮力の作用による効果は、肩までつかることでより得られやすくなります。温熱効果も高まり、血流アップにも効果的です。ただし、いきなり湯船につかるのではなく、掛け湯をして体をお湯に慣らしてからつかることが大切です。また、高齢者や持病がある場合は主治医に相談しておきましょう。肩までお湯につかると息苦しさを感じる場合は無理せず半身浴を。
3 湯船につかる時間は10~15分でOK
40℃前後のお湯に10~15分程度つかるだけで、十分に体は温まり、血液の循環も良くなります。顔や額が汗ばむくらいを目安の一つにすると良いでしょう。なお、心臓や血管、呼吸器に疾患がある場合は、少しでも息苦しさを感じたら湯船から出て休むようにしてください。
「夏はもう少しぬるめのお湯につかりたい」と思う人も少なくないかもしれません。
そういう場合は、体温よりやや高めの38℃前後のお湯にゆっくり20分程度つかると良いでしょう。
その際にお勧めしたいのが、泡が出る「炭酸ガス系」の入浴剤です。炭酸ガスには血管を拡張させ、血流量を増やす作用があるため、お湯の温度が低くても効率よく血流を改善する効果が期待できます。
「湯船につかったほうがいいことは分かっているけれど、疲れてお湯を張るのも面倒」という日もあるかもしれません。
そういう場合は、バスタブや大きめの洗面器などにくるぶしがつかる程度までお湯をためて、足湯をしながらシャワーを浴びるのがお勧めです。足湯でも、シャワーだけでは得られない温熱効果によって、疲れがより取れやすくなります。
「帰宅したらまずシャワーで汗を流したい」という場合は、先にシャワーを浴びてOKです。しかし、できれば就寝の1~2時間前に改めて湯船につかるようにすると、質の良い睡眠をとりやすくなります。入浴すると一旦体温が上がりますが、その後約90分程度で急速に体温が下がります。この体温が下がるタイミングで就床すると、眠りにつきやすくなるのです。